劇団カタコンベの戸中井三太さんに「コミュニケーションワークショップ」をしていただきました。
今年度の後期授業はインストラクターの学生が少ないので発声法などは行わず、コミュニケーションに重点が置かれたワークショップでした。
全体を通して、他者との関わり合いの中でいつも無意識にやっていることを体験の中で考えることができたと思います。
まず、円になり拍手を順番に伝えたり、手に注いだ見えない水をこぼさない様に順番に回したり、見えないボールを皆で飛び越えたりしました。
「演者が全員そこにあると信じると、見えないものが現れるような感覚」は、少しだけ実感できたような気がしました。
次に、ペアになりお互いが鏡になるセッションをしました。相手が動いてから動くのではなく鏡なので同時に動かないといけません。「相手はどういうつもりなのだろう」「この動きなら合わせられるはず」と心の中で最大限に考えながら行いました。
しかしこれを続けると、逆に「考えずに合わすことができようになる」と、戸中井さんが話していました。結構うまくいったペアもいましたので、彼らは考えずにやっていたのかもしれません。
更に今度は発言まで鏡のように同時に発するということをしました。絶対に無理と思いましたが、同じものを見て、同じものを触ったり聞いたりすることで、ある程度は言葉が共有できると感じました。
また、ここでも相手をよくみて、考えて発言することで、相談をしなくても同時に同じ言葉が出てきました。
最後に、言葉を遣わずに即興劇を2グループに分けて行いました。
言葉は「ピ」という発音だけで、集団で出来事を共有してみるというセッションでした。
これはなかなか難しく、発言した一人が伝えたいことと、受け取った人たちが理解したことが一致しないので、かなりの表現力が必要と思いました。それでも「みんなで写真を撮ろう」という気持ちが全員にしっかり伝わり、「ピ」という言葉だけで、集合写真を撮ることができていました。
今回のワークショップでは、普段言葉を遣ってやり取りしていることでも完全には伝わっていないのかもしれない、ということを考えることができ、反対に、記号として言葉を遣うだけではなくジェスチャーや表情、心の持ちよう、相手を良く見たり考えたりすることで、相手への伝わりかたが数倍あがると思いました。
また、今までの他者との関係の中における、誤解や喧嘩なども「伝わっていないこと」が問題の一つだとすると、学生たちにもとても良い経験になったと思います。
せっかく「ワークショップ実践論」という授業ですので、ワークショップを受けて感じたことを授業内だけではなく、是非生活の中でも実践してみてほしいと思います。
例年に引き続き、戸中井さんありがとうございました。
byスタッフかわだ